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Churn …米国電話事情 (8/23/1999)

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辞書にはこう出ていますが、顧客が電話会社やプロバイダを次々に乗り換える、そういう状況のことをChurnと呼びます。

今回は私の米国電話会社遍歴の話です。Churnという言葉自体は知っていたものの、渡米して1年強、自分がこれほどChurnにはまるとは思いませんでした^^;

アメリカでは通信事業の自由化においては日本の10年先を走っているといわれます。巨大AT&Tが解体されたのはもう10年以上前の出来事、それから星の数ほどの長距離通信会社が生まれ、今日も業界はその覇権を巡って再編、再編の嵐です。新興の会社が次々に生まれ、他社よりやすい料金表を武器に打ってでてくれば、既存会社も値下げ敢行…業界料金表は毎月のように下がっていっています。

この1年に私が利用した、いや、乗り換えた長距離会社は実に5社。

bulletAT&T
bulletPrimus Telecommunications, Inc
bulletTelegroup
bulletIECOM
bulletWorld Exchange Communications

地域電話会社はBell Atlantic独占です。これは実質選択の余地がありません。それから日本への国際電話をよく使います。ですから長距離電話会社は主に日本向けのレートの比較で選択しています。

bullet「AからZまで言うからSTOPって言って」

98年6月末にNYに引っ越したとき、アパートが決まると、ケーブルや電話会社との手続きです。長距離会社は自分で選ぶものだとは知っていましたが、当時様々な処理に追われて忙しかった私としては、「とりあえず長距離が使えればいい」と思って、BellAtlantic(地域電話会社)に電話したのでした。

(Bell)「長距離会社はどこにしますか?」
(私)「あーと、よくわからないんですが、どこがお勧め?」
(Bell)「では今からAからZまで会社名を言いますから、好きなところでストップと言ってください…」

といってつらつら読み上げ始めたのでした。これにはびっくりしました。読み上げはいつ終わるかわからないほど続いていたので、慌てて、「ああ、いやいや、じゃぁ、AT&Tにするよ」^^; 

bulletAT&T 約50¢/分

というわけで、とりあえず有名=無難だろうとの考えからAT&Tにしました。円換算すると約60円/分でしょうか。もちろん日本向け国際電話の料金です。

bulletPRIMUS 38¢/分

AT&Tが他の長距離に比べて高いというのは周知のことで、住居が落ち着いてから、すぐに長距離会社を探し始めました。友人たちの情報からすると、PRIMUSという会社が38¢!AT&Tの25%引きの値段でした。

この会社はAT&Tとは違い、請求書は地域会社(BellAtrantic)とは別個に発行されます。電話をかけるのも、1-800(フリーダイヤル)にかけてから相手先番号を入力するという形式。つまり自宅の電話で011と回してつながる長距離会社とは全く別個に契約できる類のものでした。ですから、この時点で私は、厳密にはAT&T, PRIMUS2社を同時に使っていたことになります。もちろん高い方のAT&Tは使いませんけど。

bulletTelegroup 25¢/分

PRIMUS 38¢で浮かれたのもつかの間。今度は25¢という業者が現れました。これも友達から紹介してもらったものです。FloridaにKoala Calling というReseller (代理店)がいてそこのホームページをみるとなんと日本向け25¢とあるではありませんか。さっそくメイル。Ericという男が調子のいい返事をくれました。(その後このEricとは長いつきあいになるのですが、その時は大会社の一担当者だろうと思ってました。)

ここも、一旦1-800に電話をかけて繋ぐという方式、よって、先のAT&T, PRIMUSとは契約しっぱなしです。^^; PRIMUSと違うのは、PRIMUSは毎月請求書を郵送してきて、それに従って、個人チェックで支払いをするのに対し、Telegroupはクレジットカードによる引き落としを要求してきました。まぁ、こちらとしてはどっちでも落ちるお金は同じ。チェックを書いて郵送する手間がない分、クレジットカードの方がうれしいです。

bullet上限額の指定

クレジットカード決済以外にもTelegroupには上限額の指定という魅力的(?)なサービスがありました。これは、月額いくらまでという金額をあらかじめ指定しておいて(上限額は顧客が指定します)、それを越えると電話がかけられなくなるというサービスです。青天井に使い込むのを防げます^^; (そんなに使うなって:-p)

bulletIECOM 18¢/分

IECOMという業者の名前は以前から聞いていました。日本語カスタマーサービスなど、日本人向けのサービスに特化していて、こちらの雑誌やパンフレットにも広告をよくみかけました。しかし、価格はTelegroup よりは少し高く、魅力はありませんでした。

が、そのIECOMが値下げ敢行!当時日本向けは20-25¢が限界だろうといわれていた時期にあって、なんと18¢/分の価格設定です。これは安い!ということでまたまたすぐに飛びつきました。:-)

IECOMは今までのPRIMUS, Telegroup とは違い、1-800を介さない、直接011をダイヤルするタイプの接続形態でした。よって請求書もBellAtlanticのローカル通話料と合計されて、BellAtranticから請求書が届きます。おお、便利便利と思っていたのですが、これが、あとでとんでもない面倒を引き起こしてくれます。

bulletチェック文化もさすがに衰退?

アメリカはこれだけカード決済が浸透しているのに、いまだにパーソナルチェックが横行しているのはなんだか不思議です。日本みたいな自動引き落としも基本的にはありません。。。と思っていたら、時代は変わりつつあるということでしょうか。いくつかの請求書には自動引き落としが広まっているようです。BellAtlanticからの請求書もそのひとつ。Direct Payment Optionという申し込みをすると、毎月チェックを送らなくても、口座から自動引き落としをしてくれます。

ですから、長距離の電話料金もBellAtlanticといっしょに請求してくれるとチェックを郵送する手間が省けてすこぶる助かるのです。。。

bulletBell Atlanticとの格闘 (その1) 月200ドルの縛り

さて、先の面倒の話に戻ります。ちょうどこの頃でしょうか。長距離電話がかからなくなったことがありました。日本へはもちろん、州外への電話もかからなくなりました。電話番号を回しても話し中の音。慌てて BellAtlanticに電話。

「お客様の場合、現在の電話利用料金が200ドルを超えていますので、州外および海外の電話はブロックされます。」

なにー!電話をたくさん使うと使えなくされてしまうのか!?つまり、011直接で国際電話をたくさん使ったので、それがBell Atlanticの利用料制限を越えたわけです。これはBell Atlantic独自の制限なので、1-800系の別個に請求書がくるタイプの国際電話を使っている分には関係ありません。話にきくと、この手の上限を設けているのは全米でもめずらしいようです。

最初、この仕組みを知ったときは愕然としました。日本なら大口顧客ということで、優遇されても良いくらいだ。家まで洗剤もって料金回収に来い!なんで高い金払ってる顧客がこういう扱いを。と、腹が立ったものです。

結局どうすればいいのかと問いつめると、料金を払って、支払った後に電話くれればブロックをはずします。とのこと。なんと理不尽な。

あ、でも1-800だったらかかるな。大丈夫。ちょっと高いけど。ということで、結局このときは泣く泣く先述のPRIMUSを使って逃げました。で、Bell Atlanticの方は請求書に従って支払いを済ませて、「お金払ったからブロックはずしてちょーだい」。あぁ、なんともめんどうです。

それから数ヶ月、あるときまた200ドルを超えてしまいました。そしてまた案の定長距離がつながらなくなりました。もう業を煮やした私は、今回はBell Atlanticに事態改善にむけて食いつくことにしました。

「いや、使い逃げされたくない、おたくの事情もわかるけどね。これは、$200を越えると 機械で自動的にロックするようになってるの?」

「はい、新規顧客の最初の1年間はそういうことになっています。」

「でもね、考えてもみてくれよ。私の場合、$200以上使うのが分かり切ってるんだ(うそ)。その度に自動的にlockされて、またlockはずしてくれと電話して。。。 なんとかならんかね?」

「その判断は私(担当者)ではなんとも。。」

「今までの支払いもちゃんと払ってるだろう?そっちのコンピュータで支払い履歴は見えるでしょう。こういう優良顧客になんでそういうことするの!」(ほんとはもっときつい口調でいった)

「。。。そうですか。ちょっとマネージャに相談してみます。」

(しばらくしてから)

「あなたの場合、この半年間の支払い履歴が良いので、自動lockをはずします。ただし、SSNO(Social Security Number)を教えてください」

「ああ。それが。。私は留学でこちらにきてるのでSSNOは持ってないんだ。。。」

「そうですか、ちょっと待ってください。」

(またマネージャと相談らしい)

今回は特別にクレジットカードの番号を控えさせていただきます。VISAはお持ちですか」

「ああ。合点承知。それならもってるぞ。」

「ではマネージャに代わりますので、そちらで。。。」

ということで、無事解決に至りました。ここに至るまで3,4回は電話で文句いったと思います。

実はこの対応、電話に出た担当者によって大きく違います。何度トライしてもだめだったという話も聞きます。ま、なにはともあれ私はラッキーにも Bell Atlantic の呪縛からは逃れることができました。(このあと再度別件で Bell Atlanticとは格闘することになります。。。:-)

bulletWorld Exchange Communication 15¢/分

さて、そうこうしている間も、Florida の ResellerのEric とはたまにメイルのやりとりをしていました。日本からの電話はなんとかならんかとかいろいろ相談していました。そしてある日、米国→日本15¢/分のサービス登場の情報。

あれ?でも前回のTelegroupとはCarrier(通信業者)が違います。違う業者のサービスも販売するの?と聞くと、彼はなんでも4社と販売代理店契約をしているそうで、その中から顧客に最適なサービスを提案してるんだとか。。たしかに、これだけ通信業者が乱立すると、そういったソリューション業務も流行るでしょう。なんせ料金表の現状把握だけでも大変な世界なのです^^; しかも、メイルを駆使して、すべて自分ひとりで業務を担っているようでした。

今回のこのサービス、これは011でも1-800でもなく、10-10-系と呼ばれるサービスで、電話をかける際に頭に10-10-***を回して電話番号を回す。そうすると最初の一回だけ、新規登録のためにResellerのIDを入力する簡単な手続き。以降は、10-10-をまわすだけでWorld Exchange経由で電話が使えるようになります。

1-800とよく似ていますが、違うのは、10-10-系のこの業者、普通の長距離電話としてBell Atlanticと合算されるという点。つまり請求書はBell Atlanticから一括して発行です。そして、ということは、1-800とは違って、公衆電話からはかけられないということです。

bulletBell Atlanticとの格闘 (その2) 長距離会社を勝手にかえるな!

15¢/分といえば、1分18円くらい、3分でも54円くらいです。日本国内は東京大阪が深夜でも3分60円、昼間だと3分90円(8/24/99現在)です。それよりも安い!しかもこちらは24時間365日サービスです:-)

これは快適と思っていた矢先、World Exchangeに変えて2ヶ月目の請求書を見たときです!なんと、料金が15¢/分よりも高いではありませんか。しかも通信業者はWorld Exchangeではありませんでした。なんとこれはどうしたことか。

慌ててまたBell Atlanticに電話。

「今の私の長距離会社。。。どうなってる?」
「***ですが?」
「そんなの知らないよ。契約した覚えはない。」
「。。。といわれましても我々の知ったこっちゃありません。。。ご契約の長距離電話会社に電話してみては?」

といわれるばかり。。なんと無責任な。World Exchange の方に電話してみると、

「えーと、お客様のアカウントはありませんねぇ。。。」
「えー!どゆこと?消えてなくなったって?先月までは使ってたんだよ。」
「あー、じゃぁ、Flamingかもしれませんね。」
「へ?Flaming ?」

Flamingというのは、どうやら、第3者が勝手に長距離会社の接続設定を顧客の了解なしに勝手に変えてしまうこと。。。らしい!なんでそんなことができるの。。。いや、まてよ。先の10-10-系加入のときも、Telegroup加入の時も、私は一切Bell Atlanticには連絡していない。つまり長距離会社とやり取りするだけで、地域電話会社の接続設定を変更することができていた。。。

ということは、システムとしては、顧客の接続設定は、地域電話会社以外の人間でも操作できるのかもしれない。。。私は続けて聞きました。

「そのFlamingというのはどういうときに起きるの?」
「多いのは、ResellerやCarrierの営業が勝手に書き換えてしまう場合です。地域電話会社の接続設定は彼らが書き換えるのです。」

なんと。どうやら、そういうことができてしまうらしい。。。。

一旦電話を切り、再度 Bell Atlanticに電話。これこれしかじかと事情を説明したら、

「そうですか。。。ではこちらで再度設定変更できますが、契約行為を録音しますので次の質問に答えてください。」
「はぁ。。」

ととにかく事情を説明して、長距離会社を元に戻せました。しかし、怖いです。いつ何時、誰かが自分の長距離会社を変えてしまうかもしれない、しかもそれが、3ドル/分の業者だったら。。。考えただけでも恐ろしくて夜も眠れません。(電話しなければいい。という解決方法は思いつきませんでした:-p)

「で、このFlamingって防ぐ方法はないの?」
「あぁ、ご希望なら、お客様の接続設定をロックすることもできますが。」

なにー!、じゃぁ、今まではロックしてないということか。という気持ちはぐっと抑えて、冷静に話しをすると、なにやら別会社らしきところに電話を回されて、なんだからここでも誓約行為。要するに顧客の要求に基づいて、接続設定の変更を承諾なしには不可にする。そういう約束を口頭で交わして、これまた録音ということでした。

おそらく、(ここからは予測ですが)、市場の自由化に伴い、長距離会社の接続設定のデータベースというのは、比較的オープンに解放されているのでしょう。そしてどのCarrierでも簡単に乗り込めるシステムに、業界全体がそういうシステムを運用しているという形態のように思えます。そしてそうすると、当然今回のようにトラブルも発生するので、それを未然に防ぐシステムと会社がこれまた存在すると。そういう理解をしました。

bullet振り返って

通信の自由化。日本もNTTが再編され長距離通信はNTT法に縛られない普通の会社として切り離されました。今アメリカで起きていることは、遅かれ早かれ、いずれ日本でも起きることでしょう。それは、価格の低下というプラス面と、上記のようなトラブルや契約の複雑さといった、マイナス面も伴うということです。

料金は、この1年で実に60¢/分→15¢/分、実に4分の1に値下がりしたことになります。まぁ、最初のAT&Tは別格扱いにするとしても、米国→日本の相場は1年前の30¢オーバーから、半年前の25¢前後、そして今は10¢台の攻防です。(8/99現在)

8/24/99現在、15¢/分を上回る会社は今のところ見つからず、現在のところこれを使っていますが、これも他社に追い越されるのは時間の問題でしょう。すでに、時間限定ですが、12¢/分という業者は現れています。

ここまできたら、半分意地です^^; どんなトラブルが起きようとも、あきらめずに最後まで安い電話会社を求めてChurnを繰り返そうと固く心に誓っている私でした。^^;

→他のNY苦労話はこちら

 

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Last Updated:11/24/01