ROI: Return on Investment (2/3/99)
ROEとかROIとかいう指標。経済やマーケティング、アカウンティングをちょっとやったことある方ならご存知でしょう。
 | ROE: Return on Equity (日本語名知りません^^;) |
対平均株価から見た利益率
 | ROI: Return on Investment (日本語名知りません^^;) |
投資額からみたその利益率
これらは、ある企業がどれくらいうまくやっているかを計る指標としてよく用いられます。
ここで紹介するのは、このROIのことではありません。Technological
ROI とも言えるR&Dマネージメント分野で用いられるROIの話です。
Technology input/output process
その前に少し技術(Technology)のプロセスについて。
Technology
Development
and
Integration
(技術開発・統合) |
→ |
Technology
Assets
(技術的資産) |
→ |
Technology
Application
(実用化) |
| ↑↑ |
|
↓↓ |
|
↓↓ |
| INPUTS |
|
Loss or Obsolescence
(無駄になりやすい) |
|
OUTPUTS |
Make
(内製) |
・In-house R&D
(自前開発) |
|
|
|
Incorporate
(社内) |
・Products(製品として)
・Processes(プロセスとして)
・Systems(システムとして)
・Services(サービスとして) |
Buy
(購入) |
・Contracted out R&D
(外注契約)
・Joint R&D Programs
(共同研究)
・Licensed-in
(ライセンス購入)
・Hired Experts
(ヘッドハンティング)
・Acquisitions
(企業買収) |
Sell
(社外) |
・License out
(ライセンス販売)
・Joint Ventures
(ジョイントベンチャー) |
技術(テクノロジー)というのは、資産です。もちろん普通の資産(土地、権利など)と違って目に見えない場合が大いです。「ノウハウ」なんて言葉がありますが、本当のノウハウは持っている本人を連れてくるのが一番手っ取り早い。そういう人間も含めて資産(Asset)です。
資産に対する入力プロセスとして、技術開発や統合(買ってくるということ)があります。自前で内製する場合もあれば、外からライセンスや人間や、ひいては会社丸ごと買ってくる場合があります。
資産に対する出力プロセスとして、応用(Application)があります。実用化というやつです。製品にしたり、サービスにしたり、プロセスにしたり、社内の別の部門にその技術を移転したり社内取引で販売することになります。もちろん場合によっては、(たとえばあまりに既存製品ラインアップとかけ離れた技術を開発した場合など)、技術パッケージとして社外に売ることも考えられます。
Measurement 指標
さて、こういったプロセスに基づいているR&Dという活動をどういう指標で測るか。以下に3つの指標を示します。
R&D Productivity = Technical Progress ÷ Input Investment
(研究開発生産性) = (技術進捗) ÷ (Inputの投資額)
問題はこの技術進捗というのをどう測るかです。通常、論文の数、特許の数などで測りますが、サービス業界の場合だと特許はまず取れませんから、サービス品質などの指標を用いるのがよさそうです。
投資額に対してどれくらい、いわゆる研究成果が出ているか、どれくらい、上記の「資産」が増えているかという指標です。
R&D Yield = NPV of Output ÷ Technical Progress
(研究開発利益率) = (成果のNPV) ÷ (技術進捗)
済みません。NPVのうまい日本語が見つかりません。^^; NPV: Net
Present Value で、たとえば、Outputとしてある製品が産まれたとすると、その製品である一定期間内に得られるであろう利益のことです。この「利益」についてもモデルがあるのですが、詳しくは別の機会にまわすとして、端的に言うと、最初は赤字で、3年後に±0円(開発コスト回収)、5年後に10億円の黒字…そういうモデルです。
上の図で行くと真中の資産から右の成果がどれくらい出ているかという指標です。
ROI = NPV of Output ÷ Input Investment
(ROI) = (成果のNPV) ÷ (Inputの投資額)
そして最後にROI。これは最初の式のInput の投資額と、2番目の式の成果の比率をあらわしたものです。上記の図でいくと、左端のINPUTと右端のOUTPUTの比率です。
NPVの意味
NPVというのは、先述のとおり将来の「利益」のことです。つまり、開発コストを回収するだけでは、R&D
Yield も、ROIも「ゼロ」になってしまうのです。研究開発部問というのは、多くの会社はオーバーヘッドとして位置付け、コストセンターとして運用している場合が多いと思いますが、コストセンターの発想だと、このROIが+になることはありえません。利益は出ずに、かかった分だけのコストが何年かの間に回収されるだけですから。このNPVという値を用いるところに、コストセンターとプロフィットセンターの発想の違いがあります。
開発された技術というのは、工場や、サービス提供部門を通して、企業の売上につながっていきます。工場から見れば、新技術は金を出してR&D部門から購入する必要がありますし、それがないと新製品や生産性向上を成し遂げることができません。
技術開発部門だって、指標の取り方ひとつで利益を出すことができるわけです。
日本とアメリカ
さて、過去の経験から、日本は、このR&D Yield
つまり利益を作るというところが得意で、アメリカは、R&D
Productivity つまり技術生産性が得意といわれています。アメリカで新しい発想、特許が産まれるけれども、うまくビジネスにして設けるのは日本。自動車しかり、半導体しかり。まぁ、一般論としてよく論じられていることですが、こうやって数量化すると、じゃぁ、何倍くらいという定量的な議論ができるようになります。
利益率の実際
実際、この技術ROIというのはどれくらいになるものなんでしょう。化学業界で見てみると、基礎物理で9%、応用で54%、鉱山関連では、応用で40-60%という数字があります。一般的には、公共投資の場合が56%,
一般企業の場合は25%といわれているようです。
つまり、ROI25%以上の成果を出せるマネージメントをすれば、それは一般的に言えば優秀な部類に入るということ。それくらい、R&Dはハイリスク・ハイリターンの投資であるということが言えます。
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