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The Goal (12/15/98)

本のタイトルです。アカウンティングのクラスの期末試験の範囲として指定されている本なので、いやでも読まざるを得なかったのですが^^;、これがなかなか面白い。

MBAの入門であるアカウンティングで使用するだけのことはある、極めて基本的なコンセプトを明確に、かつ、わかりやすく書いてある本だと思いました。

主人公Alexは、ある田舎の工場長です。ロボットも導入された最新鋭の工場。しかし会社の経営難に際し、AlexはCEOから、3ヶ月以内に工場の業績が向上しない場合は、工場を閉鎖すると宣告される、というところから話しは始まります。

いわゆる「生産ライン」を持つ工場で、その「品質」「生産性」といった要素をいかに、Ongoing で向上させるかという話。まぁ、日本で専門的にやっている人からすれば、「なにをいまさら…」といわれるかもしれませんが、その単純に数値の話にとどまらず、マネージャたる者が「どういう視点」で「何を」考えないといけないかというところを中心に書いてあるのがおもしろいところです。

生産性というのは、通常

出来高 と コスト の比率

で表されます。さしずめ、私の専門のソフトウェア開発業界だと、

プログラムを作成するのに、1行あたりいくらかかったか

という指標を使います。ライン単価と呼びます。

この工場は、ロボットの導入により、画期的な生産性の向上に成功していました。時間あたり、人間の労力あたりの生産高、つまり「生産性」が上がったわけです。

しかし、実はそのロボットによる生産性向上は、会社全体からすれば全く逆の効果を産んでしまっていました。原因は以下の3つ。

bullet生産過多による在庫コスト増加
bulletお客様単位の要求種別に応じられず納期遅延発生
bullet余剰人員削減(レイオフ)をしない

どこでも有りそうな話です^^;。面白いのはここからです。主人公のAlexは、たまたま再会した、学生時代の物理の恩師に遭遇し、この上記の問題を打ち明けます。様々な問答を通して、主人公Alexは苦悩し、やがて仲間との打ち合わせや日々の生活のなかから徐々にその解決の糸口を見つけていきます。

What is the goal ?

「会社の存在意義はなに?」

まず問答はここから始まります。会社とは何のために存在するか?企業活動の本質とは何なのか?経済発展?生活を豊かにする?給料を得る?もっと基本的なこと。。。

Make Money !

日本では、「金は天下の回りもの」といいます。どこかにある一定のお金というものが流通していて、それをいかに多く自分が占領するか。いわば陣取りゲーム。大なり小なりそういう感覚があると思いますが、英語で言えば、「Make」するものです。金は生み出すものです。自分で創り出すものなのです。そして、そのために「会社」という仕組みが存在するわけです。

「貴方の工場の目的は?」

物を生産すること。効率よく高品質な製品をひとつでも多く生産すること。違います。ここにひとつの落とし穴があります。会社が「金を生み出す」ために存在しているのに、物を作ることがゴールというのは、ちと変な話です。だって、物は作れば作るほどコストがかかり、利益は減っていくはずです。詭弁といわれるかもしれませんが、そんなことはありません。物を作るということは少なくとも Make Money に直接は役に立ちません。

通常、会社では様々な報告様式や、数値計算式が決められていて、ともすると、そういう数値にばかり縛られて、全体の目標(GOAL)を見失いがちです。Alexもここで散々悩みます。

「工場の目的に、効率よく物を生産する以外になにがあるというのだ?」

しかし主人公Alex自身、この命題には重大な矛盾があるということを認識していました。

ロボット導入→単位時間当たりの生産高は向上。
売り上げは?横ばい。
在庫は?これも上昇?
余った人員はレイオフ?組合問題もあり、配置転換を行っている。

Make Money するためには、売り上げを伸ばすか、コストを下げるか、どちらかしか方法はないはずです。しかし、上記のとおり、Alexの工場は、このどちらにも貢献していないわけです。

What is problem ?

やがてAlexは、息子とのボーイスカウトハイキングの活動を通して、「ボトルネック」の考えに到達します。生産ラインのある特定の一部が遅いがために、すべての生産がその「ボトルネック」に引きずられる。どのラインの生産性も高いのに、全体としては、スループットは低くなってしまう。ハイキングで歩くのが遅い子どもに全体の進行が引きずられるように…。

材料の投入量の調整も検討しました。今までは、「生産性」を上げるために、出来るだけロボットの稼働時間を上げる…→材料をできるだけ投入する。しかし、これでは、上記のボトルネックの問題は解決しない。そこで、あえて目の前の「生産性」を捨てて、投入量を下げます。そして、目の前の「生産性」は下がったものの、全体のスループット、生産期間を6週間から4週間にまんべんなく削減することに成功します。

The way of thinking

やがて、Alexの工場はスループット向上が認められ、工場閉鎖の危機から脱出。工場長のAlexは工場長からDivision Manager に出世。といういかにもアメリカ人の好きそうなハッピーエンドで終わっています。

結論としては、先のロボットも、ボトルネックも実は大して重要ではありません。その筋の経験をもってらっしゃる方なら、ここまで大袈裟に書かなくても、あたりまえだよ。と言うでしょう。ここで大事なのは、たとえ生産のみを請け負っている工場といえども、

bulletMake Money という大前提に立ち戻って、物をを考えるということ

それから、たとえ、「生産性」という指標が神様のごとく力を持っていたとしても、

bullet既存の指標を当てにするのではなく、自分の問題として自分の言葉で解決していくこと

日本、それから米国もそうですが、実はもう、こういった生産工場のブームは過ぎ去り、サービス業が産業全体の7割を占めるようになってきました。製品の生産は人件費の安い東南アジア等にシフトし、全て自社内で部品をまかなう方式に限界が来て、すべてのパーツが国をまたがって寄せ集められ、組み立てられる時代です。

しかし、いつの日も、どの業界も、マネージメントは数値を求め、組織や人間に対する評価はその数値を基準に論理的に決定づけられていきます。目の前の小ざかしい数値ゲームに躍らされず、問題の本質を理解し、常識を覆して解決し、勇気をもってそれを実行・表現していく。これこそが、The Goal への道のりなわけです。

Book

300ページほどのペーパーバックで、$15-$20くらいで購入できると思います。文字も大きく印刷されてますし、会話が多く読みやすいです。興味ある方はぜひお試しあれ。

"The Goal: A Process of Ongoing Improvement"
by Eliyahu M. Goldratt, Jeff Cox
Paperback - 274 pages 2nd Rev edition (August 1994)
North River Pr; ISBN: 0884270610 ; Dimensions (in inches): 0.95 x 8.96 x 5.98

OMAKE

さて、この300ページに渡る本から期末試験に出た問題。

Q: What kind of product do they make in their plant ?

#ゲ!実は…私、恥ずかしながら答えられませんでした^^;

 

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Last Updated:11/24/01