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Discussion  (3/24/99)

マイクロソフトの記事に対して以下のようなご指摘を頂きました。

指摘

「でもReportの中でGrosch's lawについて触れてたけど、これって、違うんとちゃう?気になって調べてみた。」

彼曰く、私は、記事の中では、Grosch's low を、「価格は性能の平方根分の1に比例する」、つまり、

という式で表せる。と書きましたが、(ここでいう価格というのは、単位性能あたりではなく、CPUの総体的な価格の事です)、彼の調べによれば、

【コンピュータ用語辞典より】Grosch's law グロッシュの法則
◇1950年代の初期にH.R.J.Groschが提唱したコンピュータの規模の経済性に関する法則。その内容は「コンピュータの性能はその価格の二乗に比例する」というもの。ただし、最近では、著しいテクノロジーの進歩によって成立しなくなってきた。

価格は性能の平方根に比例する。つまり、式で表せば、

なので、間違いではないか?という指摘です。

回答

私も、「はて?」と思って詳しく調べてみました。確かに、Grosch's lowの原型は上記の指摘の定義(価格は性能の平方根に比例する)が正しいという事がわかりました。ただ、この法則が最初に出されたのが1950年代とも1940年代ともいわれていて、その後の研究により、この法則にいくつかの修正が加えられています。

その中でも、http://www.autohandle.com/html/papers/LIC/ にまとめられた情報によれば、

In the 1940's Grosch noticed that if a machine of processing power of 1 MIPS cost $1, then a machine with twice the processing power only cost $1.50 [reference 9]. This observation was canonized in the literature as Grosch's law and was the economic basis upon which all computing power in an organization was centralized. A recent study [reference 10] initially showed that this trend had reversed. Additional analysis concluded that the cost of computers still follows Grosch's law, but that computers are now segregated into 5 cost categories (see Figure 1).

References

9. Grosch, H.R.J. High Speed Arithmetic: The digital computer as a research tool J. Opt. Soc. Am. 43,4 [Apr 1953] 306-310. An early statement of Grosch's law.

10. Ein-Dor, P. Grosch's law re-revisited: CPU power and the cost of computation Commun. ACM 28, 2 [Feb. 1985] 142-151. The most recent complete scholarly study of Grosch's law.

つまり、近代においては、分子と分母が入れ替わって、性能が上がるにつれて価格が安くなるという現象が起きている。そしてそれは元々のGrosch's Lowの分子分母を入れ替えたモデルに追従している。と説明されています。具体的なイメージは、この5つのカテゴリに分けられたをみるとわかりやすいと思います。

さらに詳しい説明に付いては、http://www.autohandle.com/html/papers/LIC/を参照してください。

結論としては、どうやら今日では、これらの修正も含めて総称して、Grocsh's Low と呼ぶようです。

閑話休題

さて、このGrocsh's Lawと Moore's Law から言いたいことというのは、「単位性能あたりのコストは36ヶ月で半分になる」ということです。

つまり、Grosch's Law から、価格は、性能の平方根分の1に比例する。つまり、性能が4倍になると、価格は1/2になる。

Moore's Law から、性能は、36ヶ月で4倍になりますから、この2つを併せて考えると、36ヶ月毎に単位性能あたりのコストは1/2になると言うわけです。

コンピュータやCPUに少し詳しい人なら、これらの理屈がすこし「詭弁」に近いことを感じるでしょう。いや、確かにチップや、メーカの戦略や、年代によってこれらの法則が成り立たない例はあると思います。しかし、大切なのは、「おおむね成り立つ」ということ、そして、マクロな経済学としての見地にたったときに、これらの考え方が有効になるということです。

そりゃ、今だって、10年後にCPUの価格と性能がどうなりますか?って聞かれて、多くの人が、「性能は上がって価格は画期的に下がるだろう。どれくらい?そりゃわからんよ」って答えるでしょうが、それでは、ビジネスになりません。少なくとも過去の例からモデルを引き出し、自分たちがどういう前提の元に会社の10年を計画していくかと考えたとき、こういったマクロなモデルが役に立つわけです。

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Last Updated:11/24/01