私も、「はて?」と思って詳しく調べてみました。確かに、Grosch's
lowの原型は上記の指摘の定義(価格は性能の平方根に比例する)が正しいという事がわかりました。ただ、この法則が最初に出されたのが1950年代とも1940年代ともいわれていて、その後の研究により、この法則にいくつかの修正が加えられています。
その中でも、http://www.autohandle.com/html/papers/LIC/
にまとめられた情報によれば、
In the 1940's Grosch noticed that if a machine of processing power of 1 MIPS cost $1,
then a machine with twice the processing power only cost $1.50 [reference 9]. This
observation was canonized in the literature as Grosch's law and was the economic basis
upon which all computing power in an organization was centralized. A recent study
[reference 10] initially showed that this trend had reversed. Additional
analysis concluded that the cost of computers still follows Grosch's law, but that
computers are now segregated into 5 cost categories (see
Figure 1).
References
9. Grosch, H.R.J. High Speed Arithmetic: The digital computer as a research tool J.
Opt. Soc. Am. 43,4 [Apr 1953] 306-310. An early statement of Grosch's law.
10. Ein-Dor, P. Grosch's law re-revisited: CPU power and the cost of computation
Commun. ACM 28, 2 [Feb. 1985] 142-151. The most recent complete scholarly study of
Grosch's law.
つまり、近代においては、分子と分母が入れ替わって、性能が上がるにつれて価格が安くなるという現象が起きている。そしてそれは元々のGrosch's
Lowの分子分母を入れ替えたモデルに追従している。と説明されています。具体的なイメージは、この5つのカテゴリに分けられた図をみるとわかりやすいと思います。
さらに詳しい説明に付いては、http://www.autohandle.com/html/papers/LIC/を参照してください。
結論としては、どうやら今日では、これらの修正も含めて総称して、Grocsh's
Low と呼ぶようです。
さて、このGrocsh's Lawと Moore's Law
から言いたいことというのは、「単位性能あたりのコストは36ヶ月で半分になる」ということです。
つまり、Grosch's Law から、価格は、性能の平方根分の1に比例する。つまり、性能が4倍になると、価格は1/2になる。
Moore's Law から、性能は、36ヶ月で4倍になりますから、この2つを併せて考えると、36ヶ月毎に単位性能あたりのコストは1/2になると言うわけです。
コンピュータやCPUに少し詳しい人なら、これらの理屈がすこし「詭弁」に近いことを感じるでしょう。いや、確かにチップや、メーカの戦略や、年代によってこれらの法則が成り立たない例はあると思います。しかし、大切なのは、「おおむね成り立つ」ということ、そして、マクロな経済学としての見地にたったときに、これらの考え方が有効になるということです。
そりゃ、今だって、10年後にCPUの価格と性能がどうなりますか?って聞かれて、多くの人が、「性能は上がって価格は画期的に下がるだろう。どれくらい?そりゃわからんよ」って答えるでしょうが、それでは、ビジネスになりません。少なくとも過去の例からモデルを引き出し、自分たちがどういう前提の元に会社の10年を計画していくかと考えたとき、こういったマクロなモデルが役に立つわけです。